『旧車生活』

旧車(FIAT 500F:チンクエチェント)を軸に、趣味のことをずらずらと…

愛車遍歴 その3 マークⅡ ブリット(2006-2016)

前車インプレッサは「走ること」に飛び抜けて長けていたため、もっと楽しいクルマなんて見つかるわけがなかった、これ事実。似たような”MTワゴン”を探すもミニバン&SUVブームに押されてなかなか担い手が現れない。ならば、”その道”はもう極めたとして、別の路線で…と、大きくラグジュアリー側に舵を切って選出したのがこちらのクルマ…

愛車遍歴 その3 トヨタ マークⅡブリット

このクルマ、巷では「霊きゅう車っぽい」とひどいことを言われ、決して多く売れた車ではありませんでしたが、私には4灯マスクに、角ばったフォルムはずーっと乗っていても絶対に古さが出なそう、Simple is bestを体現したクルマとして一目置いていました。しかし乗り換えるにあたっての唯一の難点がトランスミッションがATになってしまう、ということ。MT愛を貫いてきたのに「あぁ、30過ぎにして早々、MT卒業なのか」と嘆いたものでした。

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ウェストラインのエッジがよく出るこの角度が好き。とても18年前にデビューとは思えない完成度の高いフォルム。

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カラーは今も人気の「ホワイトパールクリスタルシャイン」。これでもか、とキラキラさを込めたネーミングです。

そんなMT愛を少し和らげさせたのがこの抜群のスタイルと、「NAVI・AI-SHIFT」なる機能。なんと、ナビと連携してECT制御とシフトチェンジを自動で行う優れもの。まだマニュアルモードなんてものがなかった時代にあって、ATの欠点であるスムーズな減速からの立ち上がりを改善してくれるのでは?と妙に惹かれたものでした。

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NAVI・AI-SHIFTの説明図。この時代にあってなんて洒落た機能なんだろう。

2004年にはマークⅡはマークXとなり、2005年の東京モーターショーでは「FSC」(のちにマークXジオ)なるコンセプトカーが出てきて、さらには排ガス適合基準の問題からアリストやスープラと同じターボエンジンを積んだホットなグレードiR-Vも終了…ともうモデル末期確実な頃だったので「買うなら今しかない!」と決めました。お金とタイミングがあればMTも選べるiR-Vがあったのだけれど、どちらも持ち合わせていなかったので、直噴のiR-Sを購入しました。

直列6気筒 FRワゴン

お気に入りは何といっても「これぞバブル期のサウンド」という直6エンジン。昔クラウンなどに乗ったとき「ウチのクルマとは違う、高級車だなぁ~」と思った音、加速フィーリング。それまでのカムリベースのマークⅡクオリスと異なり、良くも悪くも「セダンボディにラゲージルームをそのまま追加」した、正真正銘マークⅡベースなので、類まれな「直6 FRワゴン」というパッケージを生み出したのでした。しかしそこがまた良い。

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最後まで死守したマークⅡのエンブレム

なので、快足ワゴン感から抜けきれていない私は「走りのFR車には必須でしょ」とトルセンLSD(メーカーオプション。確かカルソニックカンセイ製。へー、トヨタ系ではないんだ、と思った気が…)を装着していました、もう快足ワゴンではないのに…。ただ、これが効いていたかどうかはいざ知らずですが、コーナーではそのパワーが成せる範囲内において、グイグイ回り、ググッと立ち上がっていました。

外装は、何も付けないと本当に霊きゅう車になってしまうので、ディーラーオプションのリップ、サイド、リアアンダースポイラーに、17インチホイールで武装していました。ここまで来れば、もう霊きゅう車とは呼ばせません。

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図太いCピラーも好き。クラウンのごとく、オーナメント装着でさらに高級感が増しました。最近のクラウンはか細くなってしまい、残念でなりません。

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こちらがCピラーに付けていた、セダン用のオーナメント。最近、某サイトで新品ではあるものの8万円の値がついていました。確保しておけばよかったか…

フロントマスクだって、国内初代レクサスGSだって4灯だった。ちょっと時代を先取りしすぎただけ。フェンダ上部まで伸びるヘッドライトは個性的だし、まっすぐで飾りっけないストップランプも後期からのLED化でものすごく上品になってました。

あと、何にも増してのアピールポイントは”スウィングレジスタ”。「何?」と言われるかもしれませんが、センターのエアコン吹き出し口が左右にスウィングするのです。一昔前(平成のころ)の高級車には必ず付いていたはずの代物で、これぞ”高級車の証”。同じところに風が当たり続けることを避けつつ、たまに欲しいときには風をそよそよと送ってくれる、こんな良いものはありません。最近のクルマは左右(席)独立コントロールが主流ですけど、僕なら今でも、選べるならこっちを選びますね、絶対。

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直線基調でこれまた完成度の高いダッシュボード。手探りで操作できるのでこれくらい物理スイッチがあった方が操作しやすい。ハザードスイッチの上には”SWING”ボタン。いつもONにしてました。
(今のところ)歴代最長保有

スタイルも、特性も、内装も、ATであることを除けば文句の付け所がないので、それはそれは長いこと乗り、今のところは、もっとも長い間の苦楽を共にしてきたクルマです。FRだからと臆することなく、スタッドレス履いて雪国通いましたし、車中泊して中国地方一周に遠征したり…。縦横無尽に本州・四国を走り回り、結果、10年20万kmを走破しています。

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奥山田温泉にて。着いた日の夜は記録的な大雪で、一晩で雪だるまに。翌日は付近一帯が孤立状態となってもう一泊するはめに…。お宿のご厚意で食費だけで泊まらせていただけ、温泉も入り放題、となんともありがたい監禁体験も。会社への「今日はお休みさせていただきます」の電話は辛そうに言うのが大変だった!?

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スタイリッシュなので、都会に良く合う。なぜステーションワゴン時代は去ってしまったのか…。

さすがに20万kmも乗ると、2回目のタイミングベルト交換時期が迫って来るし、とてもキレイな見た目とは裏腹に、いろんなところにガタは出てきました。

トータルクリーンを謳ったJZ直噴エンジンは、”トヨタ稀にみる失敗作”と一部で言われたこともあるくらい。ぐっと踏むと吹いていた黒煙は、新車の頃からではあるもののその量はさらに増し、アイドリングはガタガタと不安定になったり…。そもそも、設計が古い車だから仕方ないのだけれど、燃費は頑張っても10km/L程度。当時のアルファードくらいしか走らない。しかも、ワゴンらしく、荷物の量に関係なく一定の車高を維持する「セルフレベリングショックアブソーバー」が組まれていたものの、さすがにこの頃になるとヘタヘタで下がりっぱなし。たまに使う会社のアクアの方がよっぽど乗り心地良かったほど。

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そしてちょうど子どもも生まれて「低いクルマはベビーシートに座らせるのに大変だ」や、「バックモニタやソナーがないとぶつけちゃう」という社会情勢からも追い込まれ、超利便性の高いクルマへと引き継がれていくのでありました。

いやはや、このクルマも、もう十分乗ったぞ、という領域ながら、まだ乗っていたかったクルマです。リアの革シートなんてほとんど擦れてもいなかった、まだまだ乗れたはず、今頃どうしているかなぁ…。

 

主要スペック
車名 マークⅡ ブリット 2.5iR-S 
車両型式 TA-JZX110W-AWASH
エンジン 1JZ-FSE型 2.5L 直列6気筒 200PS
パワーウェイトレシオ 7.85kg/PS
2838位/8599車中
ベンツ Eクラスクーペ E250 Blue-Efficiency Coupe C207(2011)並み
所有期間 2006年8月吉日~2016年10月15日(10年間)
走行距離 195,275km

※パワーウェイトレシオの順位はこちらのサイトを参照
パワーウェイトレシオ ランキング (全車種・総合) | greeco channel (greeco-channel.com)