『旧車生活』

旧車(FIAT 500F:チンクエチェント)を軸に、趣味のことをずらずらと…

2021秋の逃避行 ~雲ノ平周回 Day.4 雲ノ平~

少し長めのお休みが確保できたので、長年計画してきた「雲ノ平周回」を実行してきました!!

折立~薬師岳黒部五郎岳鷲羽岳水晶岳~雲ノ平をめぐって折立に戻る、総延長55km累積標高差4,770mにも及ぶ、3泊4日の山旅であります♪

今回は最終日4日目、雲ノ平キャンプ場~薬師沢小屋~折立をご紹介します。下山から早2か月も経過した今頃、書いてます…。

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Day.4の活動データ。特にピークはなく、ひたすらの歩きです。それまでの疲労感と、まだ山の中にいたい思いから薬師峠でもう1泊して予備日を使おうか、とも思っていましたが、何とか予定通り、下山しました。
雲ノ平(5:00~7:42)

最終日は特にピークを踏むこともなく、だけど一度薬師沢まで下り、また太郎兵衛平まで登り返し、再び折立まで一気に下る…というなかなかの標高差と距離があります。特に雲ノ平から薬師沢までの下りは岩場の急斜面で、膝に堪えるだろう上にその分また登り返さなければいけないという精神的苦痛も伴うので、今日イチの山場です。

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雲ノ平山荘の待合室から眺める黒部五郎岳。こうして座ってぼーっとしている時間がとても心地よいです

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朝から食が進みます

とは言え、今回の山旅は、雲ノ平でまったり過ごすことも目的としていましたので、朝食は山荘で食べ、時間を気にせず過ごし、結果時間的におしてしまったら予備日を使って薬師峠でもう一泊すればいいや(太郎ラーメンも食べれてないし…)と思っていたので、1番に食堂に入り、”おかわり”もし、気づくと出るのも最後。食後も皆さんが身支度も早々に出発されていくのを、山荘スタッフのごとく横目で見守りながら窓の外の景色を楽しみました。思わずコーヒーでも頼もうかとも思ったくらいですが、心のどこかで「今晩は下山して風呂にも入りたい」という思いもあり、キャンプ場に戻りました。

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笠ヶ岳。再び山荘から25分かけてキャンプ場まで戻る最中でも、絶景の中で気持ちいい

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そして黒部五郎岳。朝陽で草紅葉も鮮やかさが増してます

キャンプ場についたら、やっぱり…というか、すでに皆さん出発済で、わが家がぽつんと残されるのみ…。もの淋しいこと限りなし…です。このあたりで「今出発すれば歩き切れる!!」という思いがフツフツと湧いてきて、天気もいいので歩き出すことにしました。とりあえず時間を気にせず太郎兵衛平まで行って、着いた時刻で考えよう、と。

雲ノ平(7:42)~薬師沢小屋(10:13)

テントを撤収し、帰路につきます。雲ノ平山荘と別れを惜しみながら、それでもしばらくはほとんど平地の木道が続き、天国のお散歩が続きます。この4日間の縦走路の中心地にあたるので、3日前からの思い出を回想しながら、でも、当時とは違って苦しむこともなく山々を眺めながら歩を進めます、最終日に相応しいです。祖母岳アルプス庭園)に行こうか迷いましたが、今回は時間の関係でパス。山荘と水晶岳の眺めが良いそうですが、次の機会にとっておくことにします。

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水晶岳。雲ノ平から眺めると壁のよう

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三度雲ノ平山荘に向かって下山

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ギリシャ庭園越しに黒部五郎岳

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雲ノ平山荘。また来れるかなぁ…

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祖母岳の西面はキレイに黄葉してました

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水晶岳と赤牛岳

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木道の向こうには3日前の北ノ股岳。徐々に近づいてくると「帰ってきたなぁ」感が出てきます

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奥日本庭園からは立山

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小さく見えるのは黒部五郎小舎。その左手が2日目のにっくき(単純に自分の体力がなかっただけですが…)急登。ここから見ると、全然急登じゃない(泣)登山ってだいたいそういうもんですよね…

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黒部五郎岳がカールの稜線で隠れだすと、いよいよ地獄の岩の急斜が始まります

1時間ほどあるいて、黒部五郎岳を真正面に眺めるあたりで直角に曲がると突然木道は終わり、そして地獄の急斜が始まります。下りはひざには堪えるけどもペースは保てましたが、しんどそうに登ってくる人を見ると「もう少しで天国が待ってますので頑張って」と言わざるを得なくなる。やはり天国に行くためにはそれなりの苦労をしないといけないんだな、と思いました。いや、だからこそ、天国がより天国に感じられるのかもしれません。

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薬師沢小屋。一気に谷底に落ちてきた気分…

眺望も何もなく、ただただ岩だらけの急斜面は1時間ほど続き、沢の音が聞こえてくると、黒部川本流薬師沢の出合いにある薬師沢小屋に到着です。ここから高天原に向かう大東新道との分岐にもなりますが、人っ気はなくとても静か。大東新道は「道あるの?」っていうくらいうっそうとしていましたが、沢の紅葉がキレイらしいので、高天原と合わせてまたトライしてみたいです。稜線に囲まれ、ただ川のせせらぎ(?)というか轟音が聞こえるだけで、ここも”無(心)”になれます。川の水はとても透き通っていて秋でなければドボンしたいくらい。顔を洗ってしばし休憩です。立地上、水(の枯渇)には困らないようで、小屋前に”ご自由にどうぞ”の水場があり、汲ませていただきましたが「うまいっ!!」雲ノ平の台地でしっかり濾された水は最高です!!

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川の水がすこぶる美しい。小屋に向かうにはあの赤い吊り橋を渡らねばなりません

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ふむ、川はキレイだ。しかし、なかなかの高度感…
薬師沢小屋(10:36)~太郎平小屋(13:28)

しっかり水を用意し、最後の登りに向かいます。小屋脇の急登をすっと登った以降は沢を渡る個所以外は沢より上の方を歩きます。周りを斜面で囲まれるので、遠くの山はほとんど眺められなくなってしまいました。ところどころに大きめのベンチがあり、少しごろ寝をさせていただきました。陽がさし、人も通らず、風もなく、音もしない…時間に余裕があれば何時間でも寝ていたいようなところです。3回目の川渡となる左俣出合を過ぎると、いよいよ本格的な登りが始まります。「まだか、まだか」という思いと「あぁこれで終わってしまうんだな」という思いとが交錯して複雑でした。

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雲ノ平からの急斜面。あの林の中を岩にしがみつきながら降りてきた。こうして見てみるとすぐそうだし、実際標高差500mほどなのだけど、遠い道のりでした

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小屋から左俣出合までは緩やか

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振り返って薬師沢を見下ろす。この最後の登りを越えたらホントにあとは下るのみ。もうちょいだ、ガンバレ

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ようやく見えてきた太郎平小屋。しかし小屋に着くまではまだ意外にあって、着きそうで着かない…

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中央の雲ノ平とそれを取り囲む水晶岳鷲羽岳、三俣蓮華岳黒部五郎岳。歩いてきたんだなぁ~

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今回初めて来た場所なのに、3日ぶりに戻ってくると「帰ってきたぁ~」と勝手にホーム感を感じてしまいます
太郎平小屋(13:57)~折立(17:07)

最後のエネルギーチャージをして、4日間もった天気も明日はいよいよ崩れ始める予報でしたので「もう1泊するなら祖母岳に登っておけばよかった、登らなかったんだから今ここで留まる理由はないな」と思い、ここで下山を最終決意。太郎ラーメンは次のお楽しみ、今日は風呂に入るぞ、と意気揚々と下山を開始しました。後ろ髪をひかれる思いはもちろんありましたが、それを、風呂とブラックラーメンと布団の寝床が上回った瞬間でしたね。

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遠く富山の街並みが見えて、実生活に戻るんだな、と淋しい気もしましたが、今は風呂とブラックラーメンのことしか頭にありません♪

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さらば薬師岳

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そろそろまた室堂にも行きたいな

てなわけで最後の力を振り絞って、予定通り3時間で折立に下山。いつものごとく登山口にあった自動販売機でコーラを…と思ったのに、なぜか自販機に反応なし。ダムの方まで下ればあるかな…と先送りしました。

そして3日ぶりに愛車アバチンを見たとき、なんだか涙が溢れてきました。コーラが飲めなかったわけではないと思います。家に帰るまで、長いことこの感情の理由を考えてましたが、思い当たる節はあるものの「これだ!」と特定できるものはなかったのですが、でもこういう感情にさせてくれる山旅は、やっぱり止められません。

下山後、入浴予定だった最寄りといっても車で40分ほど離れた亀谷の温泉は運悪く定休日…さらに10分走ってゆーランド 立山吉峰温泉まで来て、ようやく風呂にありつけました。露天は広いし、ややぬるめの適温。4日間酷使した身体を湯に浸けて思い返していると、自分の足に「よく頑張ったな」とほめてやりたくなります。

そしてさっぱりした後はやっぱりラーメン!!

近くにあったラーメン中町に白羽の矢を立てたのですが、これがまた超絶うまい!!商店街にある小さなお店ですけど、こいくちラーメン&チャーハンセットは、山から下りてきた最初のご飯、ということを差し引いても、また近くに来たときは必ず寄りたいです。

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ラーメンもチャーハンもおいしい!!

ということで、今シーズンはこの後、低山3山にはいったものの、泊りは結局この逃避行のみ。テントやクッカーなど、今シーズンとしてはぶっつけ本番だったわけですが、特にトラブルもなく、無事帰ってくることができました。ホントは1泊を数回こなしてから来たかったんですが、コロナ禍と天候でなかなか難しいシーズンでした。

来シーズンは甲斐駒ヶ岳~アサヨ峰や、新しく山荘ができる予定の木曽駒ケ岳空木岳など、また計画を練り練りしながら楽しみにしたいと思います。

 

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